フェリー乗り場とたこ焼き

夏の青春18切符&新型特急やくも&バスの旅 4

 

呉線須波駅下車、まっすぐ100mほど歩くと瀬戸内海だ。

須波駅前バス停からバスに乗り海沿いを走る。

瀬戸内の景色をみながら到着したのは、今回の旅の目的地のひとつ

「須波港フェリー乗り場」

 

20年以上前も今と同じように瀬戸内海を旅していた。

フェリーに乗って島々を巡り多島美を楽しんでいた。

 

ある時、三原港からフェリーに乗りいつものように島々を転々として、

最終的に広島県東側の尾道港にたどり着くことにしていた。

生口島だった気がするが、とにかくそこからフェリーに乗った。

尾道に向かうつもりで。

 

デッキで瀬戸内の風を気持ちよく受けながらボーッとしていた。

 

尾道が遠ざかる。

 

「え、尾道どこいっちゃうの?」

尾道がどっかに行ったのではなく自分の乗ったフェリーがどっかに行ってるのだ。

 

そのうち西隣の三原港も遠ざかる。

どんどん西に進んでいる。

尾道よりかなり西側の須波港に着岸した。

 

何がなんだかわからずフェリーから降りた。

どうやら間違ったフェリーに乗り込んだようだ。

 

「須波港」と言われても地理的にどこなのかさっぱりわからない。

何しろ今のようにスマホがあるわけではない。

 

地図を広げてみるとバスで尾道に向かうしかないようだった。

でも次のバスは1時間以上待たなければいけない。

周りには観光地もカフェも何も無い。

 

仕方なくフェリー待合室で待つことにした。

待合室には映画「男はつらいよ」に出てきそうな売店。

 

腹がへったなぁ、と売店をのぞいてみると「たこ焼き」があった。

家人と二人で一皿を分け合って食べた。

うまかった。

沁み沁みと美味かった。

今だにあのたこ焼きを超えるうまさには出会えていない。

 

今回の旅の目的のひとつは、あの場所であのたこ焼きを食べることだった。

ほとんど誰もいないフェリー乗り場の変わらぬ売店で、今回も一皿を二人で食べた。

 

旅の思い出ってこんな何気ないシーンだったりする。

このたこ焼きもいつまでも記憶に残るんだろうな、って思う。

 

旅はまだ続く。

 

 

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